米国家防衛戦略、対中・本土防衛「最優先」

 同盟国にGDP比 5%要求

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Nikkei Online, 2026年1月24日 10:56


トランプ米大統領=AP

【ワシントン=飛田臨太郎】米国防総省は23日、第2次トランプ政権で初めての国家防衛戦略(NDS)を発表した。最優先事項にインド太平洋地域での中国の軍事行動の抑止や、西半球も含めた「本土防衛」、同盟国・パートナーの負担強化を掲げた。

日本を含む同盟国に国防費を国内総生産(GDP)比で5%まで引き上げるよう求める方針を明記した。文書に記すのは初めてだ。引き上げにより「潜在的敵対勢力が同時に行動した場合も、抑止に十分な戦力を共同で生み出せる」と主張した。

インド太平洋地域では沖縄などの日本の南西諸島と台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」に沿って「強力な拒否防衛体制を構築する」と書き込んだ。日本などを念頭に地域の主要な同盟国・パートナーの能力強化を支援すると盛り込んだ。

中国については「19世紀以降、米国に対して相対的な国力では最も強力な国家」と位置づけて警戒感を示した。同時に「体制変更や存亡をかけた闘争は求めない」とも強調し、現状を維持する限り、米中両国は良好な関係が築けるとの認識を示した。

衝突回避に向けて中国軍との対話を拡充する方針を掲げる一方で、台湾への言及はなかった。中国を過度に刺激しないよう配慮した可能性はある。

北朝鮮への抑止については韓国が一段と役割を果たすよう促した。韓国は「主要な責任を担う能力を持っている」と触れた。北朝鮮の核戦力に関し「米国本土を脅威にさらす能力を強化しつつある」としたうえで、米国は「重要ではあるが限定的な支援」を実行するとし、関与縮小を示唆した。

南北米大陸を中心とする西半球への戦略では「米国の国益を積極的に恐れずに防衛する」と記した。

カナダや中南米の各国に「米国の利益を推進する断固たる行動をとる用意がある」と警告した。デンマーク自治領グリーンランドなど戦略的要衝への米軍のアクセスを守る方針も示した。

米国防総省はあわせて、2月11日に西半球に位置する34カ国の国防相や軍高官を集めて地域の安全保障を議論すると発表した。

NDSではロシアのウクライナ侵略が続く欧州に関し「関与は継続するが、本土防衛と中国抑止を最優先にしなければならない」と断言した。イスラエルについては「模範的な同盟国」と定義した。

NDSは政権ごとに原則4年に1度策定する。トランプ政権が2025年12月に発表した安保戦略の指針「国家安全保障戦略」(NSS)に基づき、米国の軍事戦略を具体的に示した文書にあたる。


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